石上としお 参議院議員 民進党参議院比例区第13総支部長

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国会質問

2015年5月アーカイブ

2015年4月22日(水) 統治機構調査会 参考人質疑「国と地方の関係/広域行政」(兵庫県知事/関西広域連合長・井戸敏三氏、中央大学大学院教授・佐々木信夫氏)


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【調査項目】
・国の統治機構等に関する調査
 「時代の変化に対応した国の統治機構の在り方」のうち
 「国と地方の関係」(特に「広域行政」について)

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【参考人】
・兵庫県知事/関西広域連合長 井戸 敏三 氏
 【資料】「今後の広域行政体制」

・中央大学大学院教授 佐々木 信夫 氏
 【資料①】「国と地方の関係-広域行政」
 【資料②】「連携中枢都市圏等関連資料」


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【問題意識】


(1)人口減少社会のなかで経済の牽引役となる大都市制度や、"選択と集中"の観点に立った地方制度は今後どうあるべきなのか。
   
問1:(対佐々木信夫参考人、②井戸敏三参考人)
 東京一極集中を回避し、人口減少社会における経済の牽引の役となる大都市制度や、"選択と集中"の観点に立った地方制度を今後検討する必要があると考える。1956年にスタートした政令指定市も今や全国で20都市。来月5月17日に「大阪都構想の住民投票」を行う大阪市、また名古屋市では人口が200万人を超えている。横浜市に至っては四国4県に匹敵する370万人もの超巨大都市へと変容した。しかし制度上、政令市は「市町村の大都市特例」(=市町村に府県の役割を一部上乗せする特例)のまま。
 一方、首都・東京でも昭和18年に東京府と東京市が合体して「都」となり、昭和22年に23区の特別区制度になって以来やはり今日まで変わらず(=こちらは逆に、府県に市町村の広域的な役割を一部上乗せする特例)。しかし内部を見れば、人口5万人の千代田区から90万人の世田谷区まで人口格差が大きく再編の必要性も指摘される。
 中長期的な視点で大都市制度や地方制度は今後どのような方向にモデルチェンジするべきとお考えか。

問2:(対佐々木信夫参考人、②井戸敏三参考人)
 憲法・第8章の「地方自治」(第92~95条)の規定はいずれも「地方公共団体」の意義を明らかにしていないが、地方自治法では第1条の3で「地方公共団体は、普通地方公共団体及び特別地方公共団体」としている。さらに普通地方公共団体を「都道府県及び市町村」の二段階制と規定し、また特別地方公共団体を「特別区、地方公共団体の組合及び財産区」としているが、このあたりに関しても、今後どうあるべきか、お考えがあれば伺いたい。


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(2)広域連合において利害が対立した時の調整の難しさ、また協調崩壊のリスク(限界)をどう考えているか。
   

問3:(対井戸敏三参考人)
 「関西から新時代をつくる」を合言葉に2010年12月に2府5県で設立した関西広域連合。南海トラフ巨大地震などに備えた広域防災体制の整備やドクターヘリによる広域的な救急医療体制の確保など、着実に成果を積み上げてこられた。さらに観光・文化振興、産業振興、環境保全、資格試験・免許や職員研修の広域連携に取組中。掲げる将来像は「アジアのハブ機能を担う新首都・関西」で、こうしたことから「広域連合は道州制への発展段階」と見る向きもある。
 しかし広域連合は「府県と併存」しながらの協同の組織であるため、お互いにwin-winでスケールメリットがあるテーマでは合意も容易であるというメリットもある一方で、ゼロ・サム的な対立場面では、統治主体でないため政治的な調整・決着は難しく、時に協調が崩れる弱点があるのではないか。この辺りについてどの様にお考えか伺いたい。(例えば、リニア・ルートの議論など。また、広域連合規約に「議決」ルールの明記はない等)
 
問4:(対井戸敏三参考人)
 中央集権的な道州制論には断固反対とのことだが、近年の統一地方選挙における無投票当選者の割合が県議会と町村議会では20%に近いこと=地方自治における不活発な状況も存在していることから類推すると、これからの人口減少という激変時代を迎えるにあたり、地方自治体の自発性のみに、広域連携の積極的な活用を委ねたままで大丈夫かと懸念もある。この辺りについてどの様にお考えか。


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(3)都道府県でなく道州(日本型州構想)でないとダメなのか。大都市や東京と道州の関係はどのように考えているのか。
  
問5: (対佐々木信夫参考人)
 参考人が唱える「日本型州構想」(地域主権型道州制)とは具体的にどのような内容なのか。特に構想の中で、統治機構の観点から見て、大都市や東京都と「州」の関係はどの様に設計されているか。

問6: (対佐々木信夫参考人)
 道州制反対の論者から、広域連携・広域連合の立場から、「なぜ都道府県ではダメなのか」「なぜ道州でないとダメなのか」が明確にされていない、との批判があるが、どの様にお答えになるのか。実際、これまでに広域連携の行われ方にも様々なオプションが用意されてきているはずであるが、それでは不足なのか。

問7: (対佐々木信夫参考人)
 実際のところ、どのような観点を念頭において道州制導入が必要と考えているのか。例えば、国の累積債務問題など行財政改革(財政再建)のためなのか。それとも地域の自立心を目覚めさせることを主眼においた上での統治構造上の仕掛け・仕組み提言なのか。どういう効果を、この道州制から最も期待されているのか。


以上


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【議事録】


189-参-国の統治機構に関する調査会-003号 2015年04月22日

○会長(山崎力君) 続きましては、石上俊雄君。

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○石上俊雄君 民主党の石上俊雄でございます。
 
 お二人の参考人の先生、本当に今日はいろいろお話を伺いまして、本当にありがとうございました。勉強させていただくことで二、三質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。私、電機産業出身なので、地域行政とか全然詳しくありませんので、素人の質問になりますが、御容赦をいただきたいというふうに思いますが。
 
 まず佐々木先生、その次に井戸先生という形で、お二人に同じ質問なんですが、やはり先ほど人口減少という話もございました。八千万人でどうのこうのという話もありましたが、それをしっかりと対応していくためには、やはり、何ですかね、大都市の制度を見直していくとか、あと地方の制度、またこれもしっかり見直していくというのが必要だというふうに私も思います。
 
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【資料】将来推計人口の動向(出生率回復の場合の試算)

 そんな中で、私、今横浜に住んでいるんですが、横浜の人口は三百七十万人ですか、あとは今、何ですかね、都構想というのが話題になっている大阪市は二百七十万人ですかね、あと名古屋は二百三十万人ぐらいおられるんでしょうか。それぞれ大都市といったところのその仕組み、これと、あと東京の二十三区の仕組みというのはこれ違っているわけであります。
 
 この辺を、地域、地方のところでの制度もしっかり見直さないといけないんですが、大都市のところの制度を中長期的な視点で、どんな感じでモデルチェンジしていく必要があるとお考えなのかをちょっとお聞きしたいのと、そのときに、憲法上は地方自治ということに対して、地方公共団体の意義ということについては余りうたっていないんですが、先ほど井戸先生からありましたが、地方自治法というところにはしっかり規定されているわけであります。

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 このモデルチェンジをしようとしたときに、要は法的な変更が必要になるのか、その辺についてまず佐々木先生からお答えをいただいて、その後に井戸先生、お願いしたいと思いますが。

○参考人(佐々木信夫君) 

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 大都市制度の問題は、レジュメとしては実は三ページ以降に詳しく用意はしたんですが、そこまでお話が進みませんでしたが、御質問ありがとうございました。
 
 横浜三百七十万、名古屋二百十五万、大阪二百八十万ですね、二百万以上のいわゆる政令指定都市、昭和三十一年以降、基礎的な市に七、八割の府県の業務を移して、ある程度自律的な都市経営ができるようにという仕組みが始まって約六十年たって、現在、札幌から熊本まで二十政令市がございますね。
 
 全部同じ制度を使っているんですが、実は、非常に今申し上げた二百万以上のところは、これはやっぱり、例えば大阪で聞いていますと、二百八十万の市というのは実は京都府の人口と広島県の人口と同じで、そこに公選の市長が一人しかいないというのは、住民自治という点から見ても余りにも大き過ぎるでしょうと。何ですかね、広島は二十三人とか、京都は三十人か二十八人とか、いろいろ数を挙げて、市町村長の数を挙げて、議員さんの数も含めて、住民の代表がやはりマネージしていくという仕組みから見ると大き過ぎるんだと、こう言っていました。

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【資料】地方公共団体の現状(市区町村)
 
 それで、ああいう、もう一つ、都という、都区制度と言っていますが、政令指定都市と都区制度と。大都市制度らしいものが、日本に二つの系列があるとして、政令指定都市は数を増やしてきたと。都という制度は、昭和十八年に東京府と東京市を合体をして、戦後、内部に特別区というものを抱えている県を、県というか府を都と呼んでいるわけですね。
 
 先般、一年半前に皆さんのところで可決をされて成立をした大都市地域特別区設置法、議員立法でおやりになったと思うんですが、二百万以上の都市については特別区を置くことができると、それは合併をして二百万以上になることも含めてと。
 
 そうすると、大体全国で八か所ぐらいできるという想定の上に、大阪だけではもちろんないわけですが、今大阪でやっているものを見ますと、最後の五月十七日の住民投票、法律に基づく住民投票の段階まで今進んできていますね。特別区を、大阪二百八十万を五つの特別区にして、区長公選の議会があり、専任の職員がいる。しかも、東京よりも権限の強い、ある程度規模の粒ぞろいの中核市の権限を持った、児童相談所や保健所も全部フル装備した特別区をつくると、これによって住民自治を充実をさせると。
 
 一方では、広域的な行政とか広域的な政策は、むしろ大阪府を一つの司令塔に一本化して、これは自治法の第三条を見ますと、都道府県の名称変更は法律に基づくと。その隣を見ますと、市町村の名称変更は各都道府県の条例によると書いてありますので、平成の大合併で半分ぐらい市町村の数が減りまして相当新しい市町村名もできましたけれども、各県が条例でそれを制定したと、で、総務大臣に届けると。
 
 その流れからいえば、多分、特別区の設置が賛成多数で可決をすれば、大阪の場合、大阪府を大阪都に変えるという、こういう法律に基づいて申請が出てくるんだろうと思うんですね。それは、皆さんがそれを認められれば大阪都になっていくという、戦後初めての都道府県名の変更になると思うんですが。

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 それで、お聞きになっている内容は、大都市制度が、実は政令指定都市は七十万以上で今なっているわけですが、七十万から三百七十万までばらばらでございますけれども、内部は大きく三つか四つにグルーピングできると思うんですが、それが一本化されている。このやり方はやっぱりいろいろバリエーションを付けた方がいいんじゃないかと。
 
 実は、都制度というのも、考えれば、ある種の、それは政令で指定する必要はもちろんないとしても、大都市制度として一、二、三、四、五の、五種類ぐらいの一つになるようなものかもしれないんですね。国際的に見ますと、一つは日本で使っている政令指定都市のような制度。それから、戦後、結局できないで政令指定都市制度になりましたけれども、特別市、府県とか州から完全に同格の抜き出した市ですね。それから、東京の都制度のような都区制度、内部に自治体である特別区を抱えている州、それを都市州と、ケルンなどそうですけれども。
 
 そういう、大きくは三つぐらいなんですが、日本の場合、政令指定都市と言われるものも実は百万以下と二百万以上とその中間があるように思いまして、今、横浜市長など政令指定都市市長会が提案している、特別自治市という名前を付けていますが、政令指定都市よりももっと権限の強い、しかし、都制度のように公選の、いわゆる自治体を中に置くものではなくて、権限の強い総合区をつくった形の特別自治市をつくったらどうかという提案がありますので、政令指定都市は今提案されている中では二系統でありますね、二系統。今使っている政令指定都市と特別自治市という政令指定都市の提案があると。もう一つ、大阪がもし使うとすれば都という制度がもう一つ増えていくと。
 
 さあ、どうでしょうかね。今、実際見ますと、浜松とか静岡とか見ますと、今の政令市でうまくいっているところもあるんですね。つまり、行政区単位でいいと。ただ、ある程度大きくなりますと総合区のようなものにしたい、更に大きくなりますと特別区のようなものを入れたいと、こういう話にどうもなるようでありまして。
 
 それをやっぱり、五十年ぶりに、大都市に関する法律を改正をしましたと、昨年、新藤総務大臣がおっしゃっていましたけれども、ちょっと日本の大都市については、国会も含めて、大都市は豊かであるということもあるんでしょうけれども、制度を余り、制度に関心を示さないできたということもあるのかもしれないですね。ですから、都市国家の時代にふさわしい都市制度は何かという議論を、改めて中核市を含めておやりになる時期じゃないかと思います。

○参考人(井戸敏三君) 

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 まず、大都市制度の問題ですが、特に今の政令市は区が問題なんですね、区。区は、役人が区長がなんです。それから、議会の代表もいないし、だから住民自治が全く働いていない。我々、二十年前に阪神・淡路大震災経験しましたけれども、区長の言うことを住民が聞くか、全然聞きません。首長だから聞いてくれるんです。つまり、我々の代表だから聞いてくれるんです。ですから、二十三区の最後にごみ処理問題が片付いて、完全自治体に二十三区がなりましたけれども、やはりそういう区の在り方を問わなきゃいかぬ。
 
 区の在り方を問うたときに二つありまして、今の政令市の中で住民代表制をどう入れていくかというやり方と、それから都区制度に移管していくかというやり方と、また別の仕掛けをつくるかというやり方とあるんですが、特別自治市にしてみても区が残るはずですね、それでそれが完全自治体になっていないんだとするとどうかなという問題点があるということだと思います。
 
 自治法は都道府県という制度を位置付けているんですね。都道府県という制度を、自治法の中に。ですから、どのタイプを選ぶかというのは住民が選べばいいという仕掛けには一応なっているということではないか、このように思っております。
 
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 それから、難しい課題というのは、よく言われるんですが、我々がつくったのは、その難しい利害が相対する課題だからこそ、逆に、広域連合の委員会の中でもみにもんで一定の方向付けを出そうということにいたしているんです。
 
 今、ホットな問題は、リニアのどこを通過するか。あっ、いなくなっちゃいましたけど、奈良付近なのか、告示はもう奈良付近になっているんですが、京都の方に持ってこいと、こういう話もあるんですけれども、それはそれとして、我々としては十分検討した上で一致点を見出したいというふうに考えていますし、できなかったらこんな広域連合つくらない方がましなので。やる又はやらねばならないというそれぞれの責任感から運営をさせていただいているということだと思っております。

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【資料】関西広域連合の成立とこれまでの成果 

 もう一つ差し迫っているのが、また北陸新幹線をどうするんだと。これは一応、関西広域連合としては米原ルートにしようということにしているんです。これはなぜかというと、米原ルートにするとスピード感が違うんですね。北陸新幹線と関西とをつなぐ、早くできるという、これに非常に重点を置いているんですが、本当にそれでいいのかどうかというのは、北陸側からもいろんな意見が出てきていますので、これは痛み伴っているんです、実を言いますと。大阪とか京都とか、神戸もそうですが、新幹線のエリアで、乗客数で負担し合おうかというようなことを言っておりますので、痛みを伴った決断も広域連合だからできる、これは府県間調整ではきっとできなかった、そのように思っております。

○石上俊雄君 本当にありがとうございました。参考になりました。
 
 終わります。

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2015年4月15日(水) デフレ脱却・財政再建調査会 参考人質疑「我が国の財政事情と財政再建への取組」(慶應義塾大学・井手英策教授、政策研究大学院大学・井堀利宏教授、嘉悦大学・高橋洋一教授)


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【調査項目】
・国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査 
 (我が国の財政事情と財政再建への取組)

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【参考人】
・慶應義塾大学 井手 英策 教授
 【資料】「我が国の財政事情と財政事情への取組」

・政策研究大学院大学 井堀 利宏 教授
 【資料】「財政健全化と世代間公平」

・嘉悦大学 高橋 洋一 教授
 【資料】「国民生活のためのデフレ脱却・財政再建調査会」

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<左から、高橋洋一参考人、井堀利宏参考人、井手英策参考人>

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【問題意識】


問1:(対高橋洋一参考人)
 下記テレビ番組(朝まで生テレビ)=1分程のやり取りだったが刺激的で大変示唆に富むお話だった(下記参照)。しかし財務省の先月公表の『日本の財政関係資料』によると「債務残高の国際比較」で対GDP比は、米国110%、日本230%。また「純債務残高の国際比較」で米国85%、日本150%。いずれも日米の格差は大で、わが国債務は主要先進国で最悪の水準と記述されている。これは財務省の事実誤認か。財務省資料とは何がなぜ異なるのか。そもそも各国比較の際の条件など同じにしてあるか。実際のところ、世間で言われている程、わが国債務の対GDP比を深刻に考える必要がなく、その観点で財政再建は不要ということか。(財政再建が必要ならば、それはなぜ、どの程度必要なのか。)

問2:(対高橋洋一参考人)
 「成長すれば(1000兆円の借金も)大した話じゃない」との発言。これを裏返して考えると、どのぐらい成長しなければ「大した話」になるとお考えなのか。

問3:(対高橋洋一参考人)
 成長策のアイデアとして、どのようなものが考えられるのか。


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問4:(対対井堀利宏参考人)
 「財政健全化には消費税10%ではとても足りない」とのご意見。ざっくりとでも構わないので、何に着目することによって、全体としてどれ程の消費税アップが必要とイメージされているか。(例えば、社会保障の給付費と保険料の差額:約43兆円=消費税率で15~20%相当など。)

問5:(対対井堀利宏参考人)
 著述の中で「団塊世代が逃げ得しないよう既裁定年金を来年から3割カット。そのくらいのことをやらないと若い人にとって意味のある改革は無理」とのお考え。もう少しこのお考えを詳しく教えてほしい。また、今年2月の衆議院本会議で民主党・岡田代表が言及した、厚生年金で比較的高額な年金受給者の基礎年金の税金投入部分をカットする案をどう考えるか。さらに、支給開始を制度創設時の様に男性平均寿命程度にする案なども巷で聞くがどのようにお考えになるか。


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問6:(対井手英策参考人)
 井手先生といえば、1930年代の大蔵大臣、2・26事件に倒れた高橋是清の財政史の研究で有名(『高橋財政の研究』)。一冊の著書にまとめられたほど幅広く深い議論だろうが、デフレ脱却・財政再建の現代の議論において、比較・参考になる論点・要点があると思うので、これを数分で話してくれというのは酷で誠に申し訳ないが、ぜひ少しでもお話ししていただけないか。

問7:(対井手英策参考人)
 井手先生は、神野直彦先生とのコンビ『希望の構想』でもお名前を拝見。その終章にはこうある。「本書のメッセージは実に単純である。財政赤字の削減のために国民の生活を犠牲にするという悲劇に終止符を打ち、国民の生活のために奉仕する財政を、安心の給付に支えられた信頼の政府を、構築すべきだということである。」「いかなる社会でも格差は存在する。しかし、いかなる社会でも、政治に携わる者は、社会の構成員が社会への帰属意識を失わないように、格差を是正して、社会統合を果たそうとしてきた。格差の存在は結果にすぎず、それを野放しにすることを意図した統治者は、統治に失敗する。日本国民が格差拡大を恐怖しているのは、社会の破局を予兆するかのような社会的病理現象が生じているからにほかならない」。是非この観点からデフレ脱却・財政再建への噛み砕いたポイントを伺いたい。


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問8:(対全参考人)
 「増税なき財政再建」論を唱える研究者・学者の方がいる一方で、「消費税率を10%に引き上げるだけではとても足りない」と説く方もいらっしゃる。自身が専門家でない一般人から見たら、まるで黒澤映画の『羅生門』。同じ出来事を見ているはずの目撃者や関係者がそれぞれ全く食い違った証言を展開する。これはどういうことなのか。経済学とはそういうものなのか。

 伺いたいのは自分以外のお二方のお話を正直どのように受け止めたかということ。例えば、ここが疑問だ、この前提がおかしいとか、逆に、ご自身の内容とは矛盾する様にも聞こえるが実は整合的だなどと率直に教えていただけないだろうか。


以上

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【問1、問8の関連・参考情報】

2015.3.27(金)深夜1:25-4:25テレビ朝日
朝まで生テレビ『激論!ピケティ旋風と日本の格差』

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司会:「いま1000兆、借金あるが、これ、出口は見つかるの?」
高橋:「そんなのは成長すれば、たいした話じゃない。」
発言:「それは、そんなことはない。そんなことはない。」
高橋:「そんなの別に、GDPの2倍だけど・・・」
司会:「こんな国ないよ。」
高橋:「そんなことない。そんなことない。」
司会:「どこがある?どこがある?GDPの2倍もある国」
発言:「金融資産とか実物資産があるので、実際には半分くらい。
    実質的なGDPに対する借金の比率は日米同じぐらい。」
高橋:「そうそう、計算したが日米でほとんど同じぐらい。」
発言:「高橋さんだと手前味噌だといわれるかも。
    コロンビア大ワインシュタイン教授の試算でも・・・」
高橋:「一緒だよ。一緒。」
発言:「同じ。GDPの100%以下にはなっている。」
発言:「一気に払うわけじゃなくて利息が払えればいい。
    借り換え、借り換えでいくから。」
司会:「これは皆さん、意見は同じだ。」
発言:「そうですね。」
発言:「たいしたことないことはない。」
高橋:「たいしたことなくはないけど、他の国と似たレベル。
    だからたいしたことじゃない。」
発言:「いやー、似たレベルでもない。」


以上
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【議事録】


189-参-国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会-003号 2015年04月15日

○石上俊雄君 三名の参考人の先生方、本当にいろいろな方面からの御提言、ありがとうございました。

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 限られた時間ですので、まず高橋先生に御質問させていただきたいと思いますが、先月の下旬ですか、某テレビ局の「朝まで生テレビ!」というのを、朝まで起きていられなかったので録画で見させていただきました。
 
 その中で、三時間の番組だったんですが、ピケティの旋風と日本の格差という、そういうテーマだったと思うんですけど、ほんの二、三分の議論だったんですけど、私的にはちょっと刺激的だったというか、何か素人なのでよく分からなかったんですけど。田原総一朗さんが、一千兆円の借金、この出口は見付かるのかというふうな質問をされたときに、高橋先生が、そんなのは成長すれば大したことないんだという回答をされまして、その後、GDPの二倍もあるんだ、そんな国はあるのかと言ったら、いやいやいやいや、これは森永卓郎先生もそうだったんですけど、いやいや、日米同じぐらいなんだと、試算してみると。そうすると、高橋先生も試算したらそうだと、あとコロンビア大学のワインシュタイン先生も試算したらそうなんだという話をされていたんです。ああ、そうなのかなというふうなことで、大したことはないけれども、ほかの国と似たレベルだから大したことないんじゃないかというのが高橋先生のお話で、これが一部の方なのかなと思ったら、そこに出られた先生はほとんど同じ意見だと。唯一、一部違うと言っていたのが我が民主党の大塚耕平先生ですね、だったんですが。
 
 そのことについてちょっと質問なんですけど、日本財政関係資料の中で見ますと、財務省から出てくるやつですけど、何かそれには、やっぱり対GDP比、アメリカは一一〇%で日本が二三〇%、純債務残高の国際比較では、やはりアメリカは八五%で日本が一五〇%、確かに一緒じゃないんです。たしか一緒じゃないという感覚でずっと聞いていたので刺激的だったんですけど。

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【資料】「債務残高の国際比較(対GDP比)」(財務省)

 それで、これは、やっぱり財務省として何か違う算出の仕方をしている、条件が違うのか、さらには国際の比較で何か条件が違うのか、その辺がもしかあったら教えていただきたいというのがまず一つ目の質問であります。

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【資料】「純債務残高の国際比較(対GDP比)」(財務省) 

 二つ目の質問は、成長すれば大したことないんだということですね。ということは、成長しなければ大したことあるのかということなんです。どこまで成長したら大丈夫なレベルなのということですね。ですから、それが二つ目ですね。
 
 三つ目は、もしか、何か成長というのは、先ほど先生のお話の中にも、不公平を是正していくことが成長につながるのだというんだったか、お言葉、私がちょっと聞き違えているか分かりません、そういうコメントだったんですけど、成長の何かアイデア、何かありましたら教えていただきたいという、この三つ、ちょっとお願いしたいと思います。

○参考人(高橋洋一君)

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 最初の方はテクニカルな話で、私、実は財務省の中でそういう計算していたんで言えますけど、財務省が出しているときの数字って、純債務、純資産を出しているときには、実は金融資産しか引いていません。それで、各国比較するときに金融資産しか引かない方が簡単だからです。OECDからその数字があります。
 
 私が朝生で言ったのは、政府ではちゃんとバランスシートを出しているんですね。そのバランスシートを作ったのは私なんで、それで、当然作るときにいろんな国を全部比較しましたから。アメリカも似たようなバランスシートもあるし、ほかの国もあるんですが、そういうので比較して、アメリカが単純だったんで、本当の、金融資産だけじゃなくて全部の資産を引いたら実はほとんど同じと、そういう話をしました。
 
 ですから、もしかこれ、あれでしたら財務省に、この出している資料が、OECDのやつを原典をもらって、さらにアメリカと日本の本当のバランスシートをもらえばすぐ分かります。
 
 二番目は、成長しなくなると大変というのは、それはそうです。ですから、ここ二十年間ぐらい日本の経済成長率って、名目経済成長率ですけど、これ世界でほぼびりです。二百か国ぐらいでほぼびりですから、これすごく大変です。ですからワニのあれのようにふわあっと開いちゃったというところです。これは、まともに成長していたら、多分その財政問題というのはほとんど大した話じゃなくなります。だから、ここ二十年間ぐらい名目経済成長率がほぼびりですから、これは大変になります。ですから、名目経済成長率がほぼびりですから税収が全然伸びなくて、物すごく大変だったと思います。
 
 ですから、これはちょっと名目経済成長率が、先進国の普通、先進国の普通といっても、四%、五%でも先進国では下から数えた方が早いですけどね、そのくらいになれば実は全く違う景色が見えると言ったわけです。

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 あと、三番目は、成長する秘訣というんですけど、実質経済成長率というのは、大体ここ長い間、一、二ぐらいは実は稼げるんですね。名目経済成長率が駄目って、これは何かというと、実はインフレ率が物すごく低いと。ここ二十年間ぐらいのインフレ率を見ると、世界でこれびりですね、やっぱり。ですから、これは非常にお金の量とすごい相関があって、七割ぐらいの相関があるんですけど、お金の出す量も世界でびりです。
 
 ですから、世界でびりを、二十年間お金出す量のびりを続けたら名目経済成長率がびりになっちゃったと、これだけの話なんで、その意味では、お金を普通に出せばそれは一つの解決策になると思っています。

○石上俊雄君 ありがとうございました。

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 時間に限りがあるので次の先生に質問をさせていただきたいと思いますが、井堀先生にちょっとお伺いしたいと思います。
 
 先ほどの回答の中で、早くやらないと手遅れになるというちょっとお言葉もあったと思うんですが、井堀先生が書かれている中で、団塊の世代が逃げ得しないよう既裁定年金を来年から三割カット、それくらいしないと若い人にとって意味のある改革は無理だというふうな形で書かれている、お考えがあるということですが、私どもの代表の岡田代表が、今年の二月の衆議院本会議で、厚生年金の比較的高額な年金受給者の基礎年金の税金投入部分をカットするという、こういうことを述べておりまして、この案に対してどういうお考えかというところをちょっとお聞きしたいと思います。

○参考人(井堀利宏君) 

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 私のその話は、世代間の不公平をなくすと。要するに、それぞれの世代別の年金の負担と、その人が平均的に生きたときの年金からもらう給付との関係で収益率を世代別に計算すると、高齢者の人ほど今収益率高いんですけれども、それを大体各世代でほぼ均等化するようにするにはどのくらい今の高齢者の人の給付を下げて、下げた分だけその分若い人の保険料が下がりますから若い人にとってはプラスなんですけど、そういう単純計算をすると三割カット。だから、今から、あしたから高齢者の人の給付が一律三割カットすると、仮定の話ですよ、三割カットするとほぼ世代間の不均衡というのが大分解消されるという、そういう試算を前に計算したことがあります。
 
 ただ、その試算というのはかなり昔なので、それから高齢化更に進んでいますから、今はもっとそれよりも数字はちょっと悪いかもしれませんが、いずれにしても、ある程度、むしろ三割というのはかなり、一律三割ですから、高額の年金をもらう人だけじゃなくて全ての人の年金をあしたから一律に三割下げると、何とか世代間でほぼ収支はとんとんになる。
 
 逆に言うと、それをしないと収支の差は残ります。ただ、残るにしても、何にもやらないよりはいいので、要するに、今、年金もらっている人の年金の給付が下がるということは、その分保険料を下げるか、あるいは国庫からの補助金が下がるか、あるいは、年金の積立金がその分減らないわけですから、いずれにしても将来世代の人にとっては相対的には楽なので、そういう方向は、どういう形の改革であれ、あるいは年金の課税をもう少し強化するとか、いろんな形の改革であれ、そういう方向を出すというのは世代間の不公平の解消の観点から望ましいと思います。

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 ただ問題は、それが、もちろん今、年金をもらう人は当然年金をもらうということを約束されたものが来るわけですから、約束違反という、そういう政治的なあれがあるので、そこをどう納得してもらうかというのは非常に難しい問題ですけれども。権利ですからね、年金というのは、さっき言ったように、生活保護と違って。そこを切るのは非常に難しいんですけれども、世代間の公平の観点から、なるべくいろんな仕掛けで高齢者の方の年金の給付をより効率化する方向は模索していくべきだと思います。

○石上俊雄君 ありがとうございました。
 
 最後に井手先生なんですけど、井手先生は、高橋是清さんの財政史の研究ということで本を出されていますけど、ちょうどこの高橋是清さんが今の国債の日銀受入れというのもやって財政再建をやったというふうなことになっているんですけど、これ、今と似ているんですよね、と思っているんですけど、ちょっと環境は違いますが。

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 それを前提に、何か一言で、もう少しこうならないといけないというのをちょっとコメントいただけると助かるのですが。

○参考人(井手英策君) 

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 高橋財政がまず成功だったかというのは難しくて、一つは、経済成長という意味ではおっしゃったように成功だと思います。ただ、財政再建という意味でいうと、これ実は失敗しているんですね。
 
 経済成長をなぜしたかというときに、一つは戦争、満州事変を起こしていますので、ですので、大陸に対して言わば暴力的に輸出を増やしていったというのが一つですね。
 
 次に、おっしゃった日銀引受けの問題がありますが、それだけではなくて、金本位制度というものから管理通貨制度というものへ、つまり、もう通貨制度を大胆に変えちゃったんですね。異次元の緩和なんていう次元じゃなくて、もう通貨制度そのものを変えてしまったわけですね。ここに、さらに、その前の年に比べてもう一・五倍ぐらいに相当するぐらいの財政拡張をやるということの結果の経済成長ですので、恐らく今の状況でどれ一つとして実現することはできないんじゃないかというふうに僕は思っております。

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○石上俊雄君 ありがとうございました。

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