石上としお 参議院議員 民進党参議院比例区第13総支部長

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国会質問

2015年8月アーカイブ

2015年6月30日(火) 経済産業委員会 特許法改正案

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【議題】
・特許法等の一部を改正する法律案
「特許法改正案」(概要)
「特許法改正案」(条文)

・不正競争防止法の一部を改正する法律案
「不正競争防止法改正案」(概要)
「不正競争防止法改正案」(条文)


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【質問項目】
1)論点1:原始使用者帰属:法的な論理構成如何
2)論点2:「相当の対価」⇒「相当の利益」:その意味と内容
3)論点3:「手続合理性」と「裁判所の出番・算定」の関係性
4)論点4:相当の対価の額・相当の利益の内容の裁判所算定
5)論点5-1:手続合理性要件の『等』関連
6)論点5-2:手続合理性3要件の具体化、指針

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【質問要旨】
質問要旨20問(石上事務所作成)

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(1)論点1:原始使用者帰属:法的な論理構成いかん

問1:(対伊藤仁 特許庁長官)
【使用者帰属への転換:その法的な論理構成】 
 旧法・現行法で特許の権利は従業者に原始帰属し、「相当の対価」と交換で使用者承継される一方、改正案では原始的に使用者帰属=従業者にそもそも特許の権利がないわけで、「相当の利益」を受ける権利の発生は法的にどう説明できるのか、民・民の世界に介入を必要とする法的論理構成を教えて欲しい(インセンティブ付与なら国家自らが行う例もある)。

問2:(対伊藤仁 特許庁長官)
【「使用者等」「従業者等」の該当性と規定不在時の扱い】
 使用者等には、発明に至る職務や金銭・物的支援を与え、指揮命令関係にあれば雇用契約がなくても該当し、その対として、派遣・出向・臨時社員・嘱託・パート・バイトも「従業員等」に含まれる【確認】が、現行法上、その二者間で有効な職務発明規定がなければ、紛争発生時は現行法5項の扱いになるとの理解でよいか。(改正案では?)

問3:(対伊藤仁 特許庁長官)
【発明の定義、「対価」「利益」の請求権発生】
 特許法2条(定義)は「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」との規定で、特許要件の完備が不明な発明、出願せずノウハウ秘匿される発明も「対価」「利益」を受ける権利がある【確認】が、自社実施するも赤字・権利販売するも買い手つかずなど経済的利益が結果的にゼロの場合でも「対価」「利益」を受ける権利を有するとの理解でよいか。

問4:(対伊藤仁 特許庁長官)
【発明に関して従業者と使用者の関係性が非典型的なケース】
 発明未完成だが目途が立った時点で退職し、転職先で発明を完成させた場合、その職務発明はどちらの会社の帰属になるのか。また指揮命令を受けずに行った発明(例えば、自ら研究テーマを発見、発明も独自完成した場合、また会社の中止命令を無視して発明完成した場合)は、職務発明にあたるのか。

問5:(対伊藤仁 特許庁長官)
【発明実施が非典型的なケース、信義則関連ケース】
 現行法下で使用者が発明を承継したが特許申請や自社実施を行わない、ノウハウ管理もしない場合、発明者は「対価」「利益」を受ける権利を有するか。また使用者が権利行使しない場合、権利放棄と見なされて、発明者は特許の権利を返還請求できるか。


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(2)論点2:「相当の対価」⇒「相当の利益」:その意味と内容

問6:(対伊藤仁 特許庁長官)
【「相当の対価」「相当の利益」とは】
 「相当の対価」「相当の利益」の「相当」「対価」「利益」それぞれの意味。また「相当の利益」として、従来どおりの補償金は含まれるだろうが、以下はどうか。①昇進、昇格、昇給、賞与、②ストックオプション、③有給・会社負担での海外留学、④社内ベンチャー資金の提供、⑤特許の共同出願権、⑥1年間の有給休暇、⑦社長表彰、副賞のメダル授与やディナー招待券、⑧研究設備・研究資金の充実、⑨研究テーマ自由度の向上など。


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(3)論点3:「手続合理性」と「裁判所の出番・算定」の関係性

問7:(対伊藤仁 特許庁長官)
【「手続合理性」と「裁判所の出番」の関係性】
 2004年改正の審議会で事務局は「きちんと手続、デュー・プロセスを行っていれば、そういう〔裁判所が「相当の対価」を認定する〕ケースというのはほとんどあり得ない」と繰り返し明言したが、現在、この見解は現行法でも改正案でも変更ないか。その論拠。

問8:(対伊藤仁 特許庁長官)
【基準は旧法下の判例を本当に参考にしなくてよいのか】
 2004年特許庁発行「手続事例集」では、職務発明規定は「旧法下における職務発明に係る対価をめぐる訴訟の判例を参考にして定めたものであっても、これらを参考にすることなく定めたものであっても構いません」との記述があるが、この立場は改正案でも変わらないか。現行法の3項・5項、改正案の4項・7項は強行規定か。

問9:(対伊藤仁 特許庁長官)
【現行法4項・改正案5項の『等』の意味は】
 「手続事例集」によれば「意見聴取の状況等」の「等」には、「全過程のうち、不合理性を判断するために必要とされる手続面の要素であって例示されている以外のものや、基準の内容、最終的に支払われる対価の額といった実体面の要素の全てが含まれます」とのこと。改正案の「等」にはこれに加えて「相当の利益の内容」も追加されるイメージか。漢字一文字に説明を要する多くの意味が込められて分かりにくいが、なぜ明示・列挙しないのか。


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(4)論点4:相当の対価の額・相当の利益の内容の裁判所算定

問10:(対伊藤仁 特許庁長官)
【「使用者等が受けるべき利益の額」の意味】
 旧法4項・現行法5項・改正案7項の「発明により使用者等が受けるべき利益の額」の意味は。同じか違うか。「受けるべき利益の額」とは「受けた利益の額」の意味か。字面(じづら)的には、受けると見込まれる利益=承継時点での発明単体の評価に見えるがどうか。

問11:(対伊藤仁 特許庁長官)
【「対価」「利益」は利益配分かインセンティブか】
 「相当の対価」「相当の利益」の趣旨は、使用者が得た利益の従業者への適正配分か、発明のインセンティブ付与か。改正案で「対価」を「利益」に転換するのはインセンティブ論のより強い打ち出しのはずで、「対価」「利益」を使用者の利益額と密接に連動させれば、利益の分け前に目的が変質し、企業利益に貢献した他の従業員を(「じゃあ俺の分は?」と)不公平感に目覚めさせてしまうなど、特許法の中核的趣旨からズレが生じないか。

問12:(対伊藤仁 特許庁長官)
【改正案で裁判所の算定は変わるのか】
 現行法・改正案では手続不合理の場合、裁判所の出番となる。その場合、算定の方法や「○円支払え」などの判決スタイルは旧法下と比べて変わるのか否か。例えば裁判所は従来どおり仮想超過売上高や仮想実施料率などの概念で算定を行い、また発明者貢献度の数値化も従来通りのやり方で決定するイメージか。学者の中には「実際、裁判例には、そうした事実認定に際し、『民事訴訟法248条参照』などとするものもある・・・結果としていかなる対価額が算出されるかについて、事前の予測可能性を高めることには限界がある」との批判もある。特許庁としては、いざ裁判となれば現行法でも改正案でも、金銭の場合、旧法同様の低い予見性では困るので、そういう判決が起こらないようにとの立法者意思で現行法・改正案を書いているのか。また「利益」が非金銭の場合、裁判所は内容レベルの高低を審理するのか、それとも内容の種類によらず金銭換算して算定するイメージの立法か。

(※例えば、会社側は負担の少ない「国内・社会人コースでの学位取得」を主張し、従業員側は「有給・学費は会社負担の海外留学」、最低でも「休職扱い・自己負担の留学」を主張する場合、裁判所はその支援内容を決めるのか、それとも金額に置換して算定するイメージか)。


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(5)論点5-1:手続合理性要件の『等』関連

問13:(対伊藤仁 特許庁長官)
【真の意味で発明インセンティブを与える方式とは】
 現在多くの企業で採用されている実績補償方式は、事業化・収益発生後に発明者への支払額が確定するため、出願後10-15年、時に退職後に支払発生する場合も多く、「実態はまるで年金」との譬えもある。これでは発明盛りの中堅・若手へのタイムリーなインセンティブにならないとの批判もある。そもそもこの方式は、承継時の発明評価が困難で弁済期を時間的に繰り下げたもので法の要請・推奨ではないとの理解でよいか。「指針」策定時に議論して欲しいが、今後は一括支払い方式のケースも多く出てくるとの理解でよいか。


問14:(対伊藤仁 特許庁長官)
【上限設定と通称「大化け」対応】
 「対価」「利益」の上限設定は適法か。その際、当初の想定を遥かに超える画期的な大発明が行われ、「対価」「利益」が「発明の価値」に比べて過小となる、いわゆる「大化け」対応も可能なバスケット・クローズ=包括条項的な規定がないと手続合理性は否定されるか。


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(6)論点5-2:手続合理性3要件の具体化、指針

問15:(対伊藤仁 特許庁長官)
【協議のスタイル】
 現行法・改正案において協議の方法は、社内イントラによる意見募集+オンライン回答方式でOKか。また労組が協議を行う場合、協議を行う旨を事前通知して明確な異議がなければ代表性はあるか。各組合員の意見までは聞なかった場合でも協議は行われたと評価されるか。(特許庁「手続事例集」では「あったものと評価」とされているが論拠は?)

問16:(対堂ノ上武夫 特許庁総務部長)
【規定の策定スタイル】
 アンケートによると発明規定を就業規則や労働協約で定めるケースも存在する。2004年衆議院の附帯決議では「労働協約が職務発明規定を定める有力な方策の一つであることにかんがみ、事例集の策定に当たりこの点を反映すること」とあるが、実際、その直後に特許庁が作成した「手続事例集」では「労働協約で定めたことをもって直ちに特許法上の不合理性の判断においても不合理性が否定されるわけではありません」と否定的内容となっている。また最近の企業向け解説本でも「新たに職務発明規定を設けるのであれば、会社が一方的に規定できる『その他規定』によるべき」との内容もあるが、職務発明規定の形式に関する現在の認識は(まさか「面倒なスタイルは後々厄介、お薦めできません」か)。

問17:(対堂ノ上武夫 特許庁総務部長)
【基準開示のスタイル】
 「基準」を社内イントラで掲示する場合、共用パソコンを含め、見ようと思えばいつでも見られ、意見や質問をメール・意見箱などを通して自由に述べる環境があれば十分か。また採用内定者や就職希望者など潜在的な従業者にとって、職務発明の補償基準は会社選びの重要な指標の一つだが、企業側には営業秘密に類するとの考えもあり、「社外公表は慎重な検討が必要」との解説本もあるが特許庁の認識(国家としての発明促進目標)は。

問18:(対堂ノ上武夫 特許庁総務部長)
【意見聴取の状況】
 不服申立機関のメンバーを使用者側が占めるのは適法か。発明者代表、外部の弁護士・弁理士を登用するべきか。また紛争を仲裁人に委ねる「仲裁合意」は有効か。特許庁にADR(裁判外紛争解決手続)機関設置する考えはあるか。

問19:(対堂ノ上武夫 特許庁総務部長)
【退職者、死亡者・相続人の扱い①】
 退職者に連絡先変更の通知を誓約書で義務付けて、通知がない場合は一定期間後に請求権が放棄されるとの条項は適法か。また退職後の支払いをなくす退職時精算、また請求一代限り(相続不可)の取決めは法的に許されるか。

問20:(対堂ノ上武夫 特許庁総務部長)
【退職者、死亡者・相続人の扱い②】
 現在支払い受取中の退職者の実績補償方式を変更する場合、大幅な事情変更があり必要性・相当性が肯定できるのならば、例えば年金減額訴訟のように不利益変更の内容や説明・選択肢の程度にもよるだろうが、遡及適用も法的にあり得るのか。


以上

質問票(石上事務所作成)

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【答弁】
・伊藤  仁  特許庁長官
・堂ノ上 武夫 特許庁総務部長

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【※石上としお議員に引き続き、質問に立つ加藤としゆき議員(経産委・筆頭理事)。今回の主要テーマである「特許法35条『職務発明』」は、電機連合加盟労働組合すべての会社にとって極めて重要なテーマであり、ここが勝負所と、電機連合2顧問ががっちりと連携し、法案審議の場に真正面から果敢に挑んだ。】

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【議事録】


189-参-経済産業委員会-20号 平成27年06月30日

○石上俊雄君 

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 おはようございます。民主党・新緑風会の石上俊雄でございます。
 
 特許法等の一部を改正する法律案、さらには不正競争防止法の一部を改正する法律案、この審議も六月の十九日の参考人の皆さんからの意見聴取を含めて三日目になりました。大きな視点での議論はかなり進んだというふうに思いますので、今日は時間にも限りもありますから、私としては特許法に絞って、かつ、その中での第三十五条ですね、職務発明の部分に絞ってちょっと御意見を伺いたいなというふうに考えております。
 
 いろいろとやっていったんですが、読めば読むほど分からないところが結構出てきまして、法的な解釈なので、ちょっと分かりやすくするために資料を作らせていただきまして、ちょっと多かったんですけど御容赦いただきたいというふうに思います。
 
 この特許法、今回の改正のものが通りますと、旧法、二〇〇四年前のものと現法、二〇〇四年に改正したものと、この改正した後の法律です、これが並行して、併存して出てくるわけであります。
 
 要は、旧法の問題点、後ほど触れますけれども、それを改正する、何とかクリアするために二〇〇四年に改正をして、その後、裁判、判例というのが四件しかないということを考えれば、ある程度は何かうまくいっているのかなというふうに考えられるわけですが、しかし反面、今回のこの改正をするというところをやることによって、さらに二〇〇四年のところでの問題点が再浮上してきているところもありますので、現行法そして改正案を含めてちょっと質問をさせていただきたいなと、そういうふうに思います。
 
 今日の論点は、資料の一のところを見ていただくと、大きく五つです。先ほど来出ている原始使用者帰属という問題、さらには相当の対価と相当の利益といったところと、あと手続の合理性と裁判所の出番と算定の関係、さらには相当の対価の額と相当の利益の内容の裁判所の算定、さらには手続合理性三要件と「等」の内容の具体化というところですね、これをちょっと質問させていただきたいと思います。

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資料1「特許法35条『職務発明』の比較(旧法・現行法・改正案)と5つの論点」

 まず一つ目ですが、そもそも、現法は、従業者に帰属している、そしてそれを使用者の帰属に渡すということで対価が発生しているわけであります。
 
 今回の改正によると、資料二を見ていただきたいんですが、そもそも使用者帰属になるわけなんですね。そうなると、相当の利益を受ける権利の発生は法的にどう説明できるのかということです。民民の世界に介入を必要とするその法的、論理的構成をちょっと教えていただけると助かります。

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資料2-①「現行法の論理:『譲渡』したから『対価』がある。」、-②「国家政策によるインセンティブ付与の例」、-③「新概念『相当の利益』に該当するのは何か?」

○政府参考人(伊藤仁君) 

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お答えいたします。
 
 特許法の目的は発明を奨励するということとなっております。発明のインセンティブをしっかり確保するということが大前提でございます。
 
 この三十五条、職務発明におけるインセンティブに関しましては、企業と発明者たる従業者との立場の違いということで、一般的に申し上げますと、従業者において自由な意思決定に基づく意思を表明するということが企業の中でいうと容易ではないといった事情に鑑みまして、完全に私的自治に委ねるということは適切でないというふうに考えています。
 
 こうした観点から、改正後のこの三十五条四項におきましても、職務発明に係る特許を受ける権利が初めから企業に帰属した場合に、従業者は相当の金銭その他経済上の利益を受ける権利を有するものとしているという形で、民民の関係について立法によって言わば形をつくっていると、こういうことで説明しているところでございます。

○石上俊雄君 要は、そもそも従業者帰属だったんだけれども、それを使用者の方に渡すので対価というところに結び付いてくるんですけど、初めからとなってくるとその辺をしっかり法的に完備してもらって、それはそもそももしかしたら労働協約とかさらには職務発明規程という中でうたいながらやっていくのかもしれませんが、そういったところをやりながら、是非、発明者というか従業者が今までどおり、さらにはもっと進んだような形での対価につながるように工夫をお願いできればなと、そういうふうに思います。

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 それでは次の質問なんですが、使用者等と従業者等のその該当性と規程の不在時の扱いといったところについて質問させていただきたいと思います。
 
 使用者等は、基本的に、発明に至る職務や金銭、物質的支援を与えながら、直接の雇用契約がなくても、指揮命令関係にあればその使用者等に該当するというふうに考えるわけです。そうすると、その対面というかその対にある方々というのは、派遣の方であったり、出向の方であったり、臨時社員の方であったり、嘱託、パートの皆さんも従業者等に含まれるんだというふうに考えるわけなんですね。というふうなことでいいんだろうと思うんですけど。そのときに、現行法上、その二者間で有効な職務発明規程がなければ、紛争発生時は現行法の五項の扱いになるというふうに考えてもよろしいんでしょうか。

○政府参考人(伊藤仁君) お答えいたします。
 
 まず、前提といたしまして、派遣社員あるいは出向社員が職務発明をした場合のケースでございますけれども、派遣元あるいは派遣先、あるいは、出向元あるいは出向先、このどちらが特許法上における使用者等に当たるかといったことについては、発明のインセンティブを給付する義務を負うか、この論点については個別のやはり実態を見ながら判断するということかと考えております。一律に出向だから出向先が使用者になるというふうには限らないというふうに考えております。

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 仮に、派遣社員あるいは出向社員といわゆる特許法上の使用者、これは、出向先かあるいは出向元かに、両方あり得るわけですけれども、特許法上の使用者に当たる場合に、今御質問ありましたように職務発明規程がなかったということでありますれば、御質問のとおり、現行法における三十五条五項に基づき、相当の対価の算定というものが求められることになるかと考えております。

○石上俊雄君 これは改正法でも同じふうに考えてよろしいでしょうか。

○政府参考人(伊藤仁君) 今回は相当の利益となりますけれども、同様でございます。

○石上俊雄君 ありがとうございました。

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 それでは次の、発明の定義と対価、利益の請求権発生という観点で質問をさせていただきたいと思うんですが。
 
 特許法の二条の定義が、「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。」というふうな規定で発明の定義が書かれているんですが、発明の定義はこれ満たしているわけですね、自然法則に沿ってという、その高度のレベルだというところは満たしているんですが、しかし特許要件の完備が不明な発明、さらには出願せずにノウハウ等を秘匿させる発明も、対価、利益を受ける権利が今までの議論の中ではあるというふうに私は考えているわけでありますが、権利譲渡を受けて、それを自分の会社で使って実施しました、しかし成果が出なくて赤字になったとか、さらにはそれを、じゃ、ほかに売りたい、権利をほかに売っていきたいというふうに考えたんだけれども買手が付かない、こういうふうに経済的な利益が結果的に全くなかったと、ゼロの場合も、同様に対価、利益を受ける権利があるというふうに考えてもいいわけでしょうか。

○政府参考人(伊藤仁君) お答えいたします。

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 相当の対価あるいは相当の利益について職務発明規程に定めている場合には、その規程に基づいて決定されるわけでございます。
 
 この中身については、それぞれ企業の事情に応じて定められるものと認識しておりますけれども、例えば、特許の出願時とかあるいは登録をされるときに報奨をするんだというふうに規定する場合には、結果的に何も使われずに利益が生じなかったという場合においても発明者たる従業者には一定の対価ないし利益といったものは得ることができるというふうに考えています。一方、職務発明規程の中で、実際にその特許が活用されて売上げが上がっていくといったような形で実績報奨をするんだという規定を双方の中で決めている場合には、今御質問のように経済的利益が結果的には何もなかったという場合にはその実績報奨は支払われないということがあり得ると考えています。
 
 職務発明規程が定めていない場合については、当然のことながら、五項において、受けるべき権利のものがどの程度あるかということは考慮して別途決定されるものだというふうに考えております。

○石上俊雄君 

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 分かりました。
 
 ちょっとこれから、あともう少しこういった類いの質問になるんですが、御容赦いただきたいと思うんです。
 
 どこかでこういう議論もあったかと思いますが、発明が要は未完成だったけどもう少しで何とかいくなというめどが立ったときに、要は、退職してほかの会社に移りました、そして完成をさせて、その職務発明はどこに帰属するようになるのかですね。
 
 あともう一つは、これは中村さんの青色LEDのときも何か裁判のときに出てきたらしいんですが、要は指揮命令を受けずに行った発明、まあこれはちょっと違いますけれども、例えばですよ、会社の経営方針というか、これをやると言っていたんですけど途中でちょっと成果が出ないのでやめた、しかし、いや、発明者としてはこれは物になるかもしれぬからといって独自に隠れてやっていた、そしてそれが物になって、特許という形で、権利というか、できたといったときとか、あとは、自分で独自で発明のプロセスを踏んで、そして発明に至ったといったような関係のときはどのような形の帰属になっていくのか、ちょっと教えていただきたいと思います。

○政府参考人(伊藤仁君) お答えいたします。
 
 まず、前者の、転職先で発明が完成したケースというふうに御質問かと思っておりますけれども、まず、その従業者がした発明、これが職務発明に該当するか否かというのは、特許法上は、その発明するに至った行為が、その使用者等の、従業者の現在又は過去の職務に属していることということが前提でございます。
 
 この職務発明該当性というのは、原則としてその発明が完成した時点において判断するというふうに考えております。転職先で発明が完成したという場合においては、個別の状況にもよる部分はございますけれども、転職先の企業において職務発明が成立しているというふうに考えられると思っております。この場合、改正した特許法案上は、転職先の企業が特許を受ける権利を取得する旨をあらかじめ職務発明規程で決めていれば、特許を受ける権利はその転職先の企業の方に行くというふうに考えております。

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 もう一点、使用者の指揮命令が余りはっきりしないケースという点についての御質問でございますけれども、これもかなり個別具体的な状況によって全体として判断していかなければいけないことが前提でございますけれども、裁判例などにおいても、従業者が企業から当該発明を完成するように具体的な命令とか指示を受けていなければいけないということは、必ずしもそれは必要ということではないようでございます。当該従業者の職務の内容から見て、その発明を完成させることが一般に予定され、あるいは期待されているということであれば、一応それは十分であるということでありまして、明示的に指示がないと職務発明にはならないかというと、そういうことではないというのがこれまでの判例などにおいて我々考えているところでございます。

○石上俊雄君 ありがとうございます。
 
 ちょっとまたしつこいようですけど、もう一つ、現行法下で、要は使用者が発明を承継をしました、しかしその使用者は全然特許申請も自社実施もしません、ノウハウ管理も全然しないと、そういうときはその従業者というのは利益や対価を受ける権利があるのか。
 
 さらには、もう全然会社がやらないんだったら戻してくれと、使用者が権利行使しないのであればその権利を放棄したとみなして、その発明者は特許の権利を返還請求できるのか、ここをどうか教えていただきたいと思います。

○政府参考人(伊藤仁君) お答えいたします。
 
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 特許を出願しない、使用者がしないでクローズ戦略を取るなどの場合が想定されるわけでございますけれども、その発明の実施などによって利益が生じている場合には、職務発明規程に基づいて相当の対価あるいは相当の利益を受けることができると思います。権利行使をしていなくても、特許を出願しなくてもそういうことは得られると思っております。ただし、自分で実施するあるいは他社にライセンスも行わないといった何もやっていない場合において、実際問題として何も収益が上がっていないという場合には、権利はあるけれども、実際の報奨というものは、実績報奨というものはゼロ円であるということはあり得るというふうに思っております。
 
 それから、権利を言わば放棄しているという場合のケースのお尋ねでございますけれども、これも、使用者側は権利を持っていますけれども、それを必ず使わなければいけないという義務を負っているものではございませんので、それを使っていないからといって従業者側がこれを返せというふうに返還できる性格のものではないというふうに認識しております。

○石上俊雄君 分かりました。
 
 まあそこをうまく何か仕組みとして今後ちょっとつくらないといけないんじゃないかなと思いますけどね。それをちょっと一言申し上げながら、次に行きたいと思います。
 
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 次、論点の二に入りたいと思うんですけど、現行法、相当の対価から今回改正は相当の利益に移ってきている、変更されたわけですね。その中で、要は、そもそも相当の対価、相当の利益という、相当と対価と利益というその意味合いというのをどういうふうに解釈したらいいのか、それを一つ教えていただきたいのと、あとは相当の利益としては、従来どおり報奨金というものは含まれると思うんです。そのほかにどんなものが含まれるか。
 
 資料の二の、一番下の左の黄色の枠の中に書かせていただきましたが、昇進とか昇格、あと昇給、賞与、あとストックオプション、あと有給、会社負担での海外留学、社内ベンチャー資金の提供、さらには特許の共同出願権、一年間の有給休暇、本当かなと思うんですけど、社長表彰、副賞のメダル授与やディナー招待券、研究設備、研究資金の充実、研究テーマ自由度の向上なども何か含まれるというふうに解釈しているんですが、この考え方でよろしいでしょうか。

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資料2-①「現行法の論理:『譲渡』したから『対価』がある。」、-②「国家政策によるインセンティブ付与の例」、-③「新概念『相当の利益』に該当するのは何か?」

○政府参考人(伊藤仁君) お答えいたします。
 
 まず、対価と利益の違いでございますけれども、対価は、基本的に現行法では金銭のみを指すというふうに考えています。それに対しまして、相当の利益は、相当の金銭その他の経済上の利益というふうに規定しておりますので、必ずしも金銭に限るものではございませんが、相当の利益の利益の部分につきましては、経済上の利益に該当する必要があるというふうに考えております。あと、加えて、職務発明をしたことを理由にしたものでないといけないというふうに考えているところでございます。
 
 この資料二の黄色の部分について、それぞれの個別の具体的事情によって一律に決めることはできないと思いますけれども、仮に職務発明を理由としているという要件を満たすということであれば、まず、最初の昇進、昇格、それから二番目のストックオプション、三番目の有給留学ですね、それから社内ベンチャー資金の提供、それから一年間の有給休暇、それから、例えば社長表彰における副賞として換金価値のあるようなメダルの授与あるいはディナーの招待券、研究設備あるいは研究資金の充実、こういったようなものは経済上の利益に該当し得るというふうに考えてございます。

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 一方で、ただの社長表彰、あるいは研究テーマの自由度を上げるといったようなものについては経済上の利益には該当しないというふうに考えております。
 
 以上でございます。

○石上俊雄君 ありがとうございました。
 
 この辺を充実させることによって発明者というかモチベーションが上がってくればいいなと思っているわけですが。
 
 次の視点で入らさせていただきますが、資料の三、見ていただければと思いますが、そもそも一番この特許法の中の改正というのでインパクトがあったのがやはり青色LEDの内容だというふうに思うわけであります。
 
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資料3-①「『相当の対価』裁判(通称『職務発明ジェットコースター』)」、-②「平成16年改正(2004年)に至る当時の経緯」

 でも、その青色LEDの前にこの①のところにあるオリンパス事件というのがあって、それが発端になるわけでありますが、その後にその青色LEDのやつの方が金額がでかかったものですからこういうふうになったんですが。使用者が受けるべき利益が一千二百八億円ということで、従業者貢献度五〇%ということで六百四億円というのが算出されたというふうに聞いているんです。それを、提訴したときに二百億円と言っていましたので二百億円のレベルで一回地裁としては終わっている、しかし、その後に東京高裁で様々検証して、最終的には六億円ということですから百分の一になってしまった。しかし、最後はノーベル物理学賞を受賞されるということですね。これ、すごいなというふうに思うんですけど、こういうのがあって二〇〇四年の改正に至ってきているわけであります。

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資料3-①「『相当の対価』裁判(通称『職務発明ジェットコースター』)」、-②「平成16年改正(2004年)に至る当時の経緯」 

 そこで、何が問題かというと、やはりその使用者ですね、発明者もそうでしょうけど、発明というかは従業者もそうなんでしょうけど、いわゆる裁判所の判断というか、余りにも予見性が乏しいということで、いやいやいやいや裁判になったらどれくらいうちは負担をしないといかなくなるんだろうというところが一番問題でありまして、そういうことが起きないようにするためにいろいろ改正をしてきているわけでありますが、特許庁が言うには、労使双方で合意して対価基準をしっかり作ってくださいと、そうすれば裁判所もそんなに口出しはしないんですよということを言っているわけであります。

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 その中で、質問でありますが、二〇〇四年の改定の審議会で、事務局が、きちんと手段、デュープロセスを行っていればそういう、そういうというのは対価を認定するというケースというのはほとんどあり得ないと繰り返し明言しているということでありますが、現在もこの見解は現行法でも改正法でも変更ないのか、このことについて答弁をお願いします。

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資料4-①「手続合理性」と「裁判所の出番」の関係性」、-②「基準は旧法下の判例を本当に参考にしなくてよいのか?」、-③「現行法4項・改正案5項の『等』の意味は?」

○政府参考人(伊藤仁君) お答えいたします。
 
 現行の三十五条四項に規定する協議あるいは基準の開示、意見の聴取、こういった手続が適正に行われている場合には、特段の事情のない限り、職務発明規程に基づき相当の対価を支払うことが不合理として裁判所が相当の対価を認定することはないというふうに理解しているところでございます。
 
 したがいまして、今回の改正後においても同様というふうに理解しているところでございます。

○石上俊雄君 

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 もう一つ、二〇〇四年の特許庁が発行した手続事例集というのがあるんです。これぐらいの厚さなんですが、それによりますと、職務発明規程は、職務発明規程というのはそれぞれの企業、使用者というか労使の中で作ったりするんでしょうけど、「旧法下における職務発明に係る対価をめぐる訴訟の判例を参考にして定めたものであっても、これらを参考にすることなく定めたものであっても構いません。」との記述があるわけであります。

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資料4-①「手続合理性」と「裁判所の出番」の関係性」、-②「基準は旧法下の判例を本当に参考にしなくてよいのか?」、-③「現行法4項・改正案5項の『等』の意味は?」

 このことは、この立場というか考え方というのは、改正案でも変わらないのか、変わらないと考えていいのか。さらには、現行法の三項と五項、さらには改正案の四項と七項というのは強行規定というふうに考えるものなのか。ここについて教えていただきたいと思います。

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資料1「特許法35条『職務発明』の比較(旧法・現行法・改正案)と5つの論点」

○政府参考人(伊藤仁君) お答えいたします。
 
 委員御指摘の手続事例集の記載においては、基準の内容について、手続の状況等を考慮して不合理と認められるものでない限り、必ずしも平成十六年改正特許法施行前の訴訟の判例を参考にして定める必要はないというふうに解説しております。この考え方に変更はございません。
 
 それから、改正後の三十五条第四項、第七項はいわゆる強行規定、すなわち当事者間の合意によって法律の規定の適用を排除できないというものであるというふうに考えているところでございます。

○石上俊雄君 ありがとうございます。

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 じゃ、次のまた質問に入りたいと思いますが、この手続事例集によれば、意見聴取の状況等、資料の四の③のところにちょっと書かせていただきましたが、等ですね、「等」には、全過程のうち、不合理性を判断するために必要とされる手続面の要素であって例示される以外のものや、基準の内容、最終的に支払われる対価の額といった実体面の要素の全てが含まれますとの記述というか、そういう説明があるわけであります。

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資料4-①「手続合理性」と「裁判所の出番」の関係性」、-②「基準は旧法下の判例を本当に参考にしなくてよいのか?」、-③「現行法4項・改正案5項の『等』の意味は?」
 
 ということは、改正案の「等」には、これに加えて相当の利益の内容も追加されるイメージで考えていいわけでしょうか。ということは、余りにもこの漢字一文字に結構説明を要する内容が含まれることになっていくわけでありますが、なぜ具体的に明示列挙をしなかったのか、ここについて教えていただきたいと思います。

○政府参考人(伊藤仁君) お答えいたします。

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 この改正の三十五条五項の「等」でございますけれども、この同項、同じ項の中に協議、基準の開示、意見の聴取というものが書いてございますけれども、これ以外の不合理性を判断するに関するその他のあらゆる事情というものがこの「等」の中に含まれ得るというふうに考えております。例えば、金銭以外のインセンティブを含むように相当の対価を相当の利益に改めたところでございますけれども、この「等」の中には、相当の利益に含まれる非金銭のインセンティブに係る手続がどうであるかということも当然含まれると思っております。
 
 ただし、この発明者に付与するインセンティブにつきましては、業種や企業ごとに様々な戦略、あるいは研究環境も異なりますので、いかなる基準をもって適正と見るかを一律に決するということが難しいということで、その中身については自主的に取決めをすることに委ねまして、その合理性の判断というものは特にこの例示している手続を重視してやるということになっているところでございます。そういうことでございます。
 
 それで、この部分について、なぜ明示的に相当の利益の内容を追加しないかということでございますけれども、逐一明示しようとする場合には、不合理性の判断の考慮要素というものは非常に限定されまして、事情に応じた柔軟な判断が難しくなるということを考えておりまして、あらゆるものをここに含んでいるということで、ここでは個別列記はしていないということでございます。

○石上俊雄君 だから、「等」の中の解説というのはどこかに出てくるんですか、この改正案では。現行法ではその手続事例集の中に出てきますが、今後どうなるのか、そこら辺もちょっと教えていただけると助かります。

○政府参考人(伊藤仁君) コンメンタールその他で示すことになるかと思っています。

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○石上俊雄君 ちょっと聞き取れなかったので、もう一度お願いします。

○政府参考人(伊藤仁君) 法律についての解説、コンメンタールなどを作成する過程の中で必要に応じて示していきたいと考えております。

○石上俊雄君 この辺がちょっと分かりにくいと大変なので、是非お願いしたいと思います。
 
 それでは、次の論点、論点四ですけど、相当の対価の額と相当の利益の内容の裁判所の算定というところに入っていきたいと思いますが。
 
 資料一の赤枠で表示をさせていただいておりますが、三十五条の中の旧法の四項と現行法の五項、それで改正案の七項の「発明により使用者等が受けるべき利益の額」の意味は、そもそもこれ何なのかと。要は、旧法も現法も改正法も同じ意味なのか、いや、何か違うんだったらどこが違うのかをちょっと教えていただきたいと思うんです。

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資料1「特許法35条『職務発明』の比較(旧法・現行法・改正案)と5つの論点」
 
 「受けるべき利益の額」とは受けた利益の額の意味なのかという、これ、法律用語か何かよく分からないんですけど、受けた利益の額の意味なのか。字面的には、こちらの方で勝手に解釈させていただけると、受けると見込まれる利益ですね。ですから、特許を、発明を承継した時点での発明単価の評価に見えるわけでありますが、この辺についてどういうお考えなのか、教えていただけますでしょうか。

○政府参考人(伊藤仁君) お答えいたします。
 
 相当の利益を算定するための考慮要素として、「発明により使用者等が受けるべき利益の額」という文言が七項に記載されています。
 
 これは、使用者が現実に受けた利益そのものを指すことではなく、委員御指摘のとおり、使用者などが受けると見込まれる利益あるいは期待される利益といったようなものを指すものでございます。そういったものを条文としては「受けるべき利益」というふうに文言としては示しているということでございます。

○石上俊雄君 ありがとうございます。
 
 そうなってきますと、その対価、相当の利益の趣旨が、使用者が得た利益の従業員への適正配分なのか、もしかすると発明のインセンティブ付与なのか。これが多分、改正案では、対価を利益に転換するということを考えますと、インセンティブ論の方をより強く打ち出しているというふうに思うわけなんですね。
 
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 そうなってくると、対価と利益を使用者の利益額というふうに密着連動させていくと、ちょっとこれは考え過ぎかもしれませんが、利益の分け前に目的が変質化してしまって、要は、俺は企業に貢献したからと、企業利益に貢献したほかの従業員が、何というんですかね、貢献した従業員の不公平感を目覚めさせてしまうという、そういう方向に、今回のこの特許法の改正というか、そもそもの特許法の目的、これがちょっとずれていってしまうような感じで考えるわけですが、この辺についてはどのようにお考えか、教えていただきたいと思います。

○政府参考人(伊藤仁君) お答えいたします。
 
 特許法の目的、第一条のところに、発明の奨励というふうに明文化されております。本改正特許法における相当の利益というのは、発明のインセンティブを指すというふうに考えております。
 
 このインセンティブの付与については、企業と発明者たる従業者との立場の違いというものがありまして、一般的に従業者において自由な意思決定に基づいて意思を表明することが容易でないということから、完全な自治に委ねることが適切でないという観点から法定化しているところでございまして、発明のインセンティブであるというふうにお考えいただければと思っています。

○石上俊雄君 分かりました。次に行きます。
 
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 裁判所が出てくる場面で、現行法改正案で手続不合理の場合は裁判所に持ち込まれていくわけでありますが、その場合、算定の方法や、幾ら、どれくらいの額を支払いなさいという、こういう判決のスタイルというのは旧法下と比べて今回変わっていくような内容になってくるのか。
 
 というのはなぜかというと、対価ではなくて利益なので、利益といったところを判断すると、要は、国内のどこかの大学に勉強に行くのではなくて海外留学させろと、これを要は金額換算で低い高いを裁判所が判断していくような、そういうふうなイメージに、これは、だからいいよとか、こういうふうにしなさいというふうになるのか、そういったところを教えていただきたいというふうに思います。
 
 そもそも裁判が起こらないように立法者の意思で現行法も改正法も書かれているというふうに思うわけなんですが、裁判が起こらないようにするためにどんな感じでこれを思いを込めて書かれているのか、その辺も含めてちょっと教えていただけると助かります。

○政府参考人(伊藤仁君) お答えいたします。
 
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 委員御指摘のとおり、インセンティブの付与に係る手続が不合理であるというふうに裁判所において判断される場合には、従業者などは企業に対してそれぞれの相当の対価又は相当の利益を請求することができるというふうに考えているところでございます。
 
 それで、裁判所が今回の改正以降どういう判決などを出すかということについては行政の立場からちょっと申し上げることは難しいと思っておりますけれども、また、その判決のスタイルといったようなことについては、原告である従業者がどういう請求を行うかということにまず依存するというふうに考えておりまして、そういった具体的な状況によるかと思っております。
 
 したがいまして、平成十六年改正前の特許法、それから現行法、それから改正後のものに法律が改正されても、そこの裁判のスタイルというものについては一概にこういう形になるだろうということを推測することは難しいと思っております。
 
 もちろん今回の改正を踏まえまして手続のガイドラインなども定めますので、その辺りを是非しっかりと周知、普及させていただいて、できるだけそういった双方の合意の下で未然に解決できるような形にしていくことが行政としては任務であろうというふうに考えているところでございます。

○石上俊雄君 それじゃ、また次の論点に入りたいと思うんですが、論点五の手続合理性要件の「等」の関連についてちょっと質問をさせていただきたいと思います。

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 資料の五の①をまず見ていただければと思うんですが、先ほど来ちょっと出てきたかなというふうに思うんですが、要は、今の発明に対しての利益、対価ですね、それを支払っていくスタイルというのは実績補償方式が、これが六割を占めるわけであります。しかし、反面、一括支払方式というのも二割ぐらいあるわけであります。主流としたら実績補償方式だというふうに見えるわけですね。

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資料5-①「現在主流の『実績補償方式』」、-②「真の意味での発明インセンティブの設計とは?」
 
 だから、そうなってくると、何というんですかね、このインセンティブとか実績補償方式等でどれくらいの対価になってくるというか利益につながってくるかというのを算出するというのは、要はクロスライセンスがあったり、前から出ている、一つの製品に対して幾つもの特許を使っているのでと、結構その算出は困難だというふうにこれはずっと言われてきているわけでございまして、ここをどうやってやっていくかというために今回特許の、この法が改正をされてきているのも一つの要因だろうというふうに思っています。

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 その中で、実績補償方式というのが一番何が問題かというと、やはり年金化しているということですね、はっきり言って。要は、企業に就職してすぐ特許を作るわけじゃない、特許というか発明に結び付くわけじゃありませんから、数年たって発明をしますと。発明の権利化で、要は使用者にその権利を譲渡して、それで製品を作ってほかの会社にも売っていってということで、利益が出るのに十数年掛かるわけですよ。そうすると、もう技術者ばりばりの時期というのは過ぎているわけでありまして、管理職になったり、もう定年退職をしたりしてから来るわけです。だから、イコール年金化しているということですね。

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資料5-①「現在主流の『実績補償方式』」、-②「真の意味での発明インセンティブの設計とは?」
 
 しかし、それだと、さっき、この改正の目的というのがイノベーションにつなげていくんだということですよね。ここなんですね。イノベーションというのは誰が起こすかというと、やっぱりそこで働いている皆さんとかが起こしていくわけですから、じゃ、どうやってその発明者、若手ですよ、中堅、若手の発明者にしっかり利益を与えてモチベーションを上げるような形に進めていくかというとやはり一括方式なのかなという、そこら辺が結構議論されないと私はいけないんだろうなと、そういうふうに思うわけです。
 
 そこの中で一つ質問なんですが、そもそもこの方式、承継時の発明評価が困難ということで、要は発明時のその評価が、発明評価が困難だということで弁済時期を時間的に繰り下げている、要は後々に繰り下げる、ですから実績にならざるを得ないんだというふうになるんでしょうけど、これは法の要請によるものではないというふうに理解をしていいものなのか。さらには、この辺というのは、本当、指針策定時にしっかりと議論してほしいというふうに私は考えるんですが。先ほど言った理由から、やはり年金化じゃイノベーションにつながらないと思うんですね。だって、定年退職してから海外に留学に行ったってしようがないわけですから。
 
 ですから、そういうふうなところをやっぱりしっかり考えると、行く行くは一括支払方式のケースが何となく多くなるんじゃないかなというふうに思うわけでありますが、この辺についてのお考えをちょっと教えていただきたいと思います。

○政府参考人(伊藤仁君) お答えいたします。

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 委員御指摘のとおり、これまで多くの企業においては、我々も見ておりますと、実績補償方式によっていわゆる相当の対価というものを支払われてきているところが多いというふうに認識しております。
 
 他方で、現行法において、この実績補償方式といったようなものにするようにとか、あるいは、そういうのがふさわしいといったようなことは位置付けられておりません。どのような支払の形であっても、多様な方法を許容されるような形で規定しております。
 
 この改正によりまして具体的にどのような支払方法を企業の中で進めるかということは、繰り返しでございますけれども、企業内の自治といいますか、企業と従業者との間で自主的に定められるものだと承知しております。むしろ、今後策定する予定のガイドラインなどを参考にしていただきながら、できるだけ創意工夫が発揮できるように規程を作っていただきたいというふうに考えております。
 
 委員御指摘のとおり、やはり企業の中でイノベーション、研究者のインセンティブが高まるのがどういった報奨の形が一番ふさわしいかということで、今回、この改正を契機として、企業内の中でもこういった議論を是非していただきたいというふうに考えているところでございます。

○石上俊雄君 そういった意味では、やはりガイドラインというか、指針を作るところが結構重要だというふうに思うんです。そうなると、ちょっと議論があったというふうに思いますが、どういう形でその指針に対しての議論が進むか分かりませんが、是非、発明する方であったり、それを使う方であったり、さらには学者さんであったり、幅広い人たちが集まる中でしっかり議論をしていただいてすばらしい指針の策定をお願いしたいなと、そういうふうに考えるわけであります。

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 それで、次の質問なんですが、その対価とか利益があるんですが、やはりどうしても使用者側的には上限設定をしたいなと、それは思いますよね、誰しも。しかし、当初の想定をはるかに超える画期的な発明というのは中にはあるわけでありまして、だから対価、利益が発明の価格に比べて過小だったという、いわゆる大化けするものが出てくるわけなんですが、そのときの対応というのは、やはりバスケットクローズという包括条項的な規定をしっかり定めておかないと、これは何というんですかね、不合理性というんですかね、手続の合理性というのが要は否定される、要は手続が駄目ですよということで裁判になっちゃうとか、そういうふうになってしまうのか。このことについてちょっと教えていただけますでしょうか。

○政府参考人(伊藤仁君) 現行法における相当の対価、それから改正特許法における相当の利益、いずれについても、条文上、その上限を設定するということを直接規定している、あるいはそれが適切でないということを規定しているわけではございません。したがいまして、その上限を設定していることだけをもってその手続が不合理あるいは不適正であるということではないと考えております。
 
 具体的にどのような規程を設けるかについては、繰り返しになりますけれども、双方の間で自主的に決められるものだというふうに考えておりまして、ガイドラインを参考にしていただきながら一番いい形にしていただければと思っています。
 
 決して上限を設けている企業が多いということを我々は把握しているわけではございませんけれども、上限を設けていない企業も現に存在していることは、私自身は確認しておるところでございます。

○石上俊雄君 ありがとうございます。

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 次の論点なんですが、資料の六に入ります。
 
 手続の三要件というのがあるんですが、そのうちの一つで協議というのがあります。協議をどういうふうにするかですね。このグラフを見ていただけると分かるんですが、一番多いのはやっぱり社内のイントラネットで協議をしていく、それで意見を集める、意見がなかったらというふうな、そういうようなスタイルが一番多いというふうになっているわけでありますが、この現行法改正案においても、協議の方法というのは、社内イントラネットによる意見募集、さらにはオンラインによる回答方式でこれは問題ないなというふうに考えておられるのか。

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資料6-①「協議のスタイル:誰に対してどの様に?」、-②「労働組合の代表者性(委任・意見聴取など)」 

 そのときに、労働組合が協議を行うということも中にあるわけですけれども、協議を行う旨を事前通知をしまして、明確な異議がなければ代表性があるというふうに判断をして、そして、その中で各組合員の意見までは、資料の六の②に書いてあるんですが、組合員の意見までは聞かなかった場合でも協議は行われたと評価されるかというところですね。この手続集の中ではあったものと評価されるというふうに書いてあるわけですけど、えっ、そうなのみたいな、というふうになっているわけですけど、この辺についての論拠ですね、このことについて教えていただけますでしょうか。

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資料6-①「協議のスタイル:誰に対してどの様に?」、-②「労働組合の代表者性(委任・意見聴取など)」

○政府参考人(伊藤仁君) お答えいたします。
 
 職務発明規程の協議の部分において、社内のイントラネットによって意見募集をするというのが適正な手続として評価できるかどうかという点でございますけれども、これ、企業の規模とか、あるいはその研究開発をどういう形でやっておられるか、形態といった具体的な状況で判断すべきものだというふうに考えております。
 
 こうした判断基準については、今後策定されるガイドラインにおいて具体的に示していく予定でございますけれども、この適正な協議というものは、やはり実質的な話合いが行われたと評価されることが必要であろうというふうに考えております。
 
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 それから、労働組合が協議を行う場合においても、今後策定されるガイドラインの中で適正な手続の在り方を具体的に示していく予定で考えておりますけれども、例えば各組合員が労働組合に対して協議に関する御自身の権利を委任したというときは、各組合員が協議を行ったものというふうに評価できるものと考えているところでございます。

○石上俊雄君 

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 次に入りますが、資料の七の①にも書いてあるんですが、アンケートによりますと、発明規定を就業規則や労働協約で定めるケースも存在してきているんですが、そのアンケートの中で一番多いのはその他の定めが圧倒的なわけであります。しかし、二〇〇四年の改定のときに、衆議院の附帯決議で「労働協約が職務発明規定を定める有力な方策の一つであることにかんがみ、事例集の策定に当たりこの点を反映すること。」とあるわけでありますが、その直後に特許庁が作成した手続事例集では、労働協約で定めたことをもって直ちに特許法上の不合理性の判断においても不合理性が否定されるわけではありませんと、否定的な内容となっているわけであります。
 
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資料7-①「規定のスタイル:『契約、勤務規則その他の定め』」、-②「規定開示のスタイル:誰に対してどの様に?」

 そういった意味で、最近の解説本、結構出てきているんですが、新たに職務発明規程を設ける場合、会社が一方的に規定できるその他の規程によるべきというふうに、解説本の方はそっちの方なんですね、そっちの方。会社が自由に定めるその他の規程でというふうになっているわけでありますけれども。何ですかね、職務発明規程の形式に関する、本来やっぱりどういうふうにするべきか、特許庁としてどういうふうにお考えなのか、そこをちょっとお聞かせいただけますでしょうか。

○政府参考人(堂ノ上武夫君) 

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 今御指摘いただきました契約、勤務規則その他の定めの中には労働協約も含まれておるということは事実でございまして、二〇〇四年の衆議院の附帯決議のとおり、この中で、労働協約が職務発明規程を定める有力な方策の一つであるというふうに認識をしております。他方で、労働協約以外の方策もこれは認め得るものでございまして、手続事例集にはその趣旨が反映されたということでございます。
 
 ガイドラインの策定に当たりまして、労働協約が職務発明規程を定める有力な方策の一つであるという認識を引き続き踏まえながら、労働組合の代表者、労働法学者、研究者も含めた産業構造審議会において検討、審議をいただきまして、効果的な発明のインセンティブが決定されるような協議、それから意見聴取の適正な在り方を検討してまいりたいと存じます。

○石上俊雄君 分かりました。

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 次に入りますが、三要件の開示というところを今やっているんですけど、要は、さっきの資料の七の②のように、開示のスタイルというのは九割が社内イントラネット、さっきの意見募集もイントラネットですけど、開示もイントラネットなんですね。共用のパソコンを含めて、見ようと思えば見れるという、こういうスタイルを取っておけば、意見や質問、メール、意見箱などを通じて、要はこういうメールの環境も含めて自由に意見が述べられる環境があれば、基準の開示というのについてはこれは環境は十分だというふうにお考えになられるのか。

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資料7-①「規定のスタイル:『契約、勤務規則その他の定め』」、-②「規定開示のスタイル:誰に対してどの様に?」 

 さらに、このことというのは、企業ごとに、特許に対して、その発明に対してどういうふうな対応をしているかというのは、結構企業としても自分の企業価値を、価値というのかな、就職、就職というか、新しい人材を集めるときにも有力な一つの評価ポイントになるんじゃないかなというふうに思うわけなんですが、しかし、その解説本をまた読んでいきますと、社外への公表は企業の営業秘密に類することもあって慎重な検討も必要だというふうになっているわけでありますけれども、この辺についても特許庁のお考えをちょっとお聞きしたいと思います。

○政府参考人(堂ノ上武夫君) まず、委員御指摘の職務発明規程の協議、開示の問題でございますけれども、これが社内イントラネットによる提示をもって適正な手続と評価できるかどうかということにつきましては、先ほどの意見聴取と同様、企業の規模、研究開発の形態など、またイントラネットがどのようなものであるかといったような具体的状況下で個別に判断するということになるものだと認識をしております。

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 一方で、優秀な人材を集めるためにこの基準を公開することにつきましては、これは企業によって、相当の利益の基準をそのために自主的に公開をするということは、これは十分にあり得ることだと考えております。他方で、企業が従業員にどのように相当の利益を与えるか等につきましては、基本的には各企業の技術競争力に直結する経営戦略に属する事項であるということでございますことから、その情報開示を政府がこれを義務付けるということは適切ではないと考えております。

○石上俊雄君 ありがとうございました。

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 続きまして、意見聴取のスタイルといったところに入っていきたいと思いますが、自分の発明、その対価というか利益というか、そこに対して異議申立てをしたいということで、職務発明規程の中では職務発明審査会なるものを設けなさいというふうなところもあるわけです。一概にその職務発明審査会が不服申立て機関というふうになるわけではないんですが、そういったところを設けていってその発明者の申入れを受けるというふうに考えるわけですが、そのときに、その職務発明審査会もそうなんですけど、要は特許部の部長さんとかがメーンなんですね。あとは社長さんが委員を決めるとか、そういうふうな感じになっているような書きっぷりなんです。
 
 ということで、いやいや、異議を申し立てても何ら自分の意見をやっぱり評価してくれないじゃないかというふうにつながるんじゃないかというふうに思っていまして、そういうことを考えれば、不服申立てをする機関、このメンバーというのは使用者側が占めているというのは法的に適法と考えていいものかどうかですよね。

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資料8-①「意見聴取のスタイル:誰に対してどの様に?」、-②「退職者への対応・扱い:企業実務における超・重要課題」
 
 さらには、発明者代表とか外部の弁護士さんとか弁理士さんを登用するとか、さらには紛争を仲介する仲裁人に委ねる仲裁合意というところもいいんじゃないかなというふうに思いますし、特許庁にADR、裁判外紛争解決手続機関を設置するとか、いろいろ考え方があるわけでありますが、この辺について今、現時点でどのようにお考えか、お願いします。

○政府参考人(堂ノ上武夫君) 改正法案に基づきますガイドラインにおきましては、発明者との協議それから意見聴取などを行った上でインセンティブを決定するという手続を定めることとしております。その中で、協議、意見聴取の具体的な方法はそれぞれの企業と従業者との間で自主的に定めるということが尊重されるものだと考えておりまして、社内の不服申立て機関の中に発明者や外部の弁護士それから弁理士を、これを含めるかどうかということにつきましても各当事者が十分に協議をした結果に委ねられているというふうに考えております。
 
 こうした労使双方が十分に納得感を高めた手続を踏むことによって、様々な規定を定めることによりまして訴訟という手段を取らずに円満な解決を図るということが可能となるというふうに考えておりますことから、委員が御指摘いただきました特許庁においてADR機関を導入するということは考えてございません。

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○石上俊雄君 当事者間でというふうになるわけでありますけれども、資料の八の①にも書いてあるんですが、異議申立て制度がないというところもあるわけでありますので、是非その辺は、ちょっとうまく、やっぱりどこに行ったらいいんだろうというふうになりますから、そこはその指針かガイドラインの中でもしっかり規定をいただければと思います。

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資料8-①「意見聴取のスタイル:誰に対してどの様に?」、-②「退職者への対応・扱い:企業実務における超・重要課題」
 
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 次が、八の②の退職された皆さん方の取扱いということですね。
 
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資料8-①「意見聴取のスタイル:誰に対してどの様に?」、-②「退職者への対応・扱い:企業実務における超・重要課題」

 先ほども御説明をさせていただきましたが、発明に対しての対価というか、利益の年金化といったのが進むわけです。大どころの企業になりますと、抱えている特許というのは累積で数万から数十万件と言われているわけであります。ちょっとこの前レクいただいたときには、製薬会社とかは件数が少ないらしいんですね、物づくりというか電機産業系はめちゃめちゃ多いらしいんですけど。そういうことで、実績補償方式を取ると、退職者への皆さんの対応で結構大変だというのは多分想像できる。膨大な労力になるというのは分かりまして、これが今一番大きな問題だというふうに一つ考えられるわけであります。
 
 そんな中で、最終的には指針を作る中での大きな議論にしていただきたいと思いますが、どっちがいいんだということですね。企業の負担があるのにやっぱり実績補償で年金化になったものを追っかけた方がいいのか、それよりはもっと初めに一括払いで若いうちに留学の機会とかというところにつなげた方がいいのか、ここは指針の議論の中でしっかりやっていただきたいんですが。

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資料5-②「真の意味で発明インセンティブの設計とは?」
 
 その中で一つ、退職者に連絡先変更の通知を誓約書で義務付けて、通知がない場合は一定期間後に請求権が放棄されるとの条項、これを設けるというのは法的に適法だと考えられるのか。さらには、退職後の支払をなくす退職時清算、又は請求の一代限り、相続不可の取決めは法的に許されるのか。この辺はどのようにお考えなのか、教えていただけますでしょうか。

○政府参考人(堂ノ上武夫君) 

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 委員が御指摘いただきましたとおり、実績補償方式の場合におきましては、退職者との連絡が取れなくなったために企業が、様々な非常に多くの件数を抱えている企業においてインセンティブの給付ができないという場合が起き得ることがございますけれども、この場合、具体的な状況にもよりますけれども、一般的にはその手続がそれだけで不適正なものであると判断される可能性は低いというふうに考えております。
 
 また、退職時清算、請求一代限りの取決めの判断につきましては、各企業の職務発明規程の内容、それからそれぞれの具体的な状況によるために、これについて一概に申し上げることは難しいものと考えております。
 一方で、ガイドラインの策定に当たりましては、委員が御指摘いただきましたように、可能な限り具体的な状況も想定した上で効果的な発明のインセンティブが決定されるような協議、それから意見聴取の適正な在り方を検討してまいりたいと存じます。

○石上俊雄君 

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 ですから、二〇〇四年で改定があって、今回また新たに改定の法案が出てきているわけなんで、せっかく指針を作るので、しっかりと、だから先ほども言いましたように、使用者だけではなくて、この指針も、やっぱり働いている皆さん方の代表も結構それなりにいていただかないといけないし、司法の方もいていただかないといけない、学者さんもいていただかないといけないという、そんな中でしっかりと議論をいただければというふうに思います。
 
 時間も来ますので最後の質問にさせていただきたいと思いますが、この退職者の方の対応なんですけど、じゃ、今実績補償方式で受け取られる方がおられました、企業側も含めて何とか手間を省きたいので変更したいんですと、要は先行きのものを一括でまとめて払いたいという変更手続ですね、変更をしたいというふうに考えたとき、その必要性ですとか相当性が肯定されるのであれば、例えば年金額、年金の減額訴訟のように、不利益変更の内容やその説明、選択枠の程度にもよるんでしょうけれども、遡及適用も法的にあり得るというふうに考えるわけでありますが、この辺についてはどのように今お考えか、教えていただきたいと思います。

○政府参考人(堂ノ上武夫君) 今のような内容につきましても、これもあくまで各企業の職務発明規程の内容、それから具体的な状況によりますために一概には申し上げられませんけれども、一方、企業と従業者との間でガイドラインに従った協議等を再度行うことによりまして、退職者の実績補償方式を、これを事後に一括払い方式などに変更するということは可能であると考えております。
 
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 いずれにいたしましても、ガイドラインの策定に当たって十分なインセンティブが、納得ができるような、決定されるような協議、それから意見聴取の在り方を十分に検討してまいりたいと存じます。

○石上俊雄君 時間が来ましたのでこれで終わりますが、やっぱり日本の特許というか発明というのは、先ほど阿達委員からもありましたが周回遅れ、もっとドラスチックにやっていかないといけないときに来ているんじゃないかなというふうに思うんですね。その中でちょっと有力な特許が出なくなったのは、やはり企業の体力が今はだんだんと失われていて、ちょっと今は成果に結び付かないけど、もっと先のことに対しての研究をするというところの予算がどんどん削られてきているというところに行き着くのかなというふうに思っています。

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 そういった意味では、是非、経産省の皆さんのお力もお借りしながら、産業全体を元気にしていただくことをお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
 
 ありがとうございました。

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20150630「参議院経済産業委員会会議録」

20150630「参議院経済産業委員会配付資料8枚」

20150630「参議院経済産業委員会配付資料8枚」

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