石上としお 参議院議員 民進党参議院比例区第13総支部長

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石上としおの見解

電機ジャーナル2015年12月号「不適切会計に関する2つの『調査報告書』を読んで」

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電機ジャーナル2015年12月号『不適切会計に関する2つの「調査報告書」を読んで』

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電機ジャーナル
全力で聴く。全力で届ける。
2015年12月号

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不適切会計に関する
2つの『調査報告書』を読んで

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第三者委員会『調査報告書』:
全容が明らかになった全299頁

 国会が安保法案で連日揺れていた7月、『東芝歴代3社長辞任』の速報が全国を駆け巡りました。経営トップの関与による「利益の嵩上げ」や「損失計上の先送り」で2,000億円超の過年度決算の修正が必要であることが判明したのです。
 
 調査を行ったのは第三者委員会。20名の弁護士、77名の公認会計士が約2ヵ月間で、役職員210名と会計監査人への聞き取り、業務用PCや内部文書の調査、また内部通報窓口を設置する等の方法で全容を明らかにしました。特に不適切会計の原因の一つとされた経営トップの業績改善圧力や当期利益至上主義については「賞与の査定は2段階引き下げる」「残り3日で120億円の利益改善要求」(いわゆる"チャレンジ")など生々しい描写も記載されています。

役員責任調査委員会『調査報告書』:
投げかけられた企業統治・内部統制の問題

 そして2つ目の調査報告書が11月、役員責任調査委員会から提出されました。先の第三者委員会の調査結果を踏まえて今度は、現旧役員ら98名について「任務懈怠があったか」「損害賠償請求すべきか」を調査・判断した内容で、5名の元役員に民事訴訟を提起して責任追及すべきとの結論になっています。
 
 これにはさまざまなご意見があると想像しますが、現在立法府に身を置く立場、また労働組合のメンバーとしての立場からは、これら2調査報告書が投げかける旧くて新しい問題に着目しています。それは「企業統治(コーポレート・ガバナンス)」や「内部統制」は投資者にとって安全性の観点から重要というだけでなく、労働者にとっても「働く場の確保(ジョブ・セキュリティ)」という観点から自己防衛の大事なツールだという事実です。

制度や運用に抜けた穴が放置され続けていないか?

 調査報告書では今回の問題の間接的な原因として「財務報告に係る内部統制が、経営トップ層の直接の指示等のため有効に機能しなかった」ことが挙げられています。しかし専門家の間では以前から"内部統制の限界"として「経営者が不当な目的の為に内部統制を無視ないし無効ならしめることがある」と指摘されていたようです(H19.2.15『財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準(金融庁企業会計審議会)』等参照)。
 
 またPC事業のBuy-Sell案件の問題やインフラ事業における「工事進行基準」の問題も同様に、一般論ではありますがズバリの指摘がなされているのです(前者H21.7.9『我が国の収益認識に関する研究報告(日本公認会計士協会)』等、後者H27.4.30『工事進行基準等の適用に関する監査上の取扱い(日本公認会計士協会)』等参照)。
 
 事後にこうしたことが分かっても、今この瞬間に「制約を設けない事業構造改革」と対峙する仲間たちには何の気休めにもならないかもしれません。しかし制度や運用に抜けた穴が放置されているとすれば、それは社会悪であり、問題の本質を把握したうえで必要とあればルールや法制度を見直す必要があると考えます。

(終)

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電機ジャーナル2015年12月号『不適切会計に関する2つの「調査報告書」を読んで』

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