【答弁書】『平成「過ち」の財政史を教訓とする「令和」のあるべき財政運営の構想に関する質問主意書』に対する答弁書が閣議決定

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答弁書第四〇号
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『平成「過ち」の財政史を教訓とする「令和」のあるべき財政運営の構想に関する質問主意書』に対する答弁書
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【質問趣旨】

 財政制度等審議会(以下「財政審」という。)が昨年十一月、麻生財務大臣に提出した「平成三十一年度予算の編成等に関する建議」(以下「平成最後の建議書」という。)には、平成の財政運営を総括した、「平成という時代は、こうした厳しい財政状況を後世に押し付けてしまう格好となっている。かつて昭和の政治家は戦後初めて継続的な特例公債の発行に至った際に「万死に値する」と述べたとされるが、その後先人達が苦労の末に達成した特例公債からの脱却はバブルとともに潰えた一時の夢であったかのようである。より見過ごせないことは、平成十四年(二〇〇二年)から財政健全化に向けた出発点となる指標として掲げている国・地方合わせたプライマリーバランスの黒字化という目標すら、十五年を超える歳月を経てもいまだ達成されていないことである」との記載がある。

 さらに同建議書では、この「万死に値する」財政運営を政府に行わせた主因が「受益の拡大と負担の軽減・先送りを求めるフリーライダーの圧力」、すなわち「歪んだ圧力」にあると断罪し、「新たな時代においては、財政健全化どころか一段と財政を悪化させてしまった平成という時代における過ちを二度と繰り返すことがあってはならず、手をこまねくことは許されない」と、政府に猛省を促している。平成「過ち」の財政史を教訓とする「令和」のあるべき財政運営の構想が、今ほど強く求められている時代はないと考え、以下のとおり質問する。

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●政府・財政審による『平成最後の建議書』

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『平成三十一年度予算の編成等に関する建議』【財政制度等審議会、平成30年11月20日】

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一 平成最後の建議書において、財政審は「平成三十一年度(二〇一九年度)予算は、平成最後の予算編成であると同時に、次の新たな時代に向けた最初の予算編成でもあり、その幕開けにふさわしい予算となることを期待したい」としているが、当初予算として初めて百兆円を超えた本年度の予算全体や、特に、「臨時・特別の措置」により膨張した歳出は、平成最後の建議書の精神に則ったものと言えるのか、政府の見解を明らかにされたい。

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●公債残高の累積

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●戦前からの債務残高の推移

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『平成三十一年度予算の編成等に関する建議』【財政制度等審議会、平成30年11月20日】

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(安倍内閣の回答)

 平成三十一年度予算は、全世代型の社会保障制度への転換に向け、本年十月に予定されている消費税率十パーセントへの引上げに伴う増収分を活用して幼児教育の無償化をはじめとする社会保障の充実を図るとともに、税率引上げに伴う経済的影響を平準化するため、御指摘の「臨時・特別の措置」を講ずること等により、予算規模は約百一・五兆円となっている。

 同年度予算については、「経済財政運営と改革の基本方針二〇一八」(平成三十年六月十五日閣議決定)に盛り込まれた「新経済・財政再生計画」(以下「新経済・財政再生計画」という。)に沿って歳出改革の取組を継続すること等により、新規国債発行額を前年度当初予算と比べて約一兆円減額しているなど、財政健全化の必要性を指摘する「平成三十一年度予算の編成等に関する建議」(平成三十年十一月二十日財政制度等審議会建議。以下「建議」という。)の趣旨に沿ったものであると考えている。

 また、「臨時・特別の措置」については、建議における「引上げに当たっては、引上げ前後の消費を平準化する等、経済への影響を緩和するために万全を期す必要がある」との指摘も踏まえたものであると考えている。

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■国・地方のプライマリーバランス回復の達成見込み【20190313参議院予算委員会パネル・石上俊雄事務所作成】

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内閣府「中長期の経済財政に関する試算」(平成31年1月30日経済財政諮問会議提出)
内閣府「中長期の経済財政に関する試算」(平成30年1月23日経済財政諮問会議提出)
内閣府「中長期の経済財政に関する試算」(平成29年7月18日経済財政諮問会議提出)

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二 国・地方合わせたプライマリーバランスの黒字化(以下「PB黒字化」という。)について、例えば、平成二十四年七月十八日の参議院社会保障と税の一体改革に関する特別委員会における安住財務大臣(当時)の答弁で確認できるように、二〇二〇年度のPB黒字化はこれまで我が国の国際公約とされてきたが、昨年の「経済財政運営と改革の基本方針二〇一八~少子高齢化の克服による持続的な成長経路の実現~」でその目標年度が五年先送りされた。現在も引き続き、政府は二〇二五年度のPB黒字化を国際公約としているのか、政府の見解を明らかにされたい。国際公約としての扱いを変更した場合には、その理由及び、その結果として弱まるPB黒字化目標年度への信頼性をどのように担保するのか明らかにされたい。

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●債務残高(対GDP比)の推移(国際比較)

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『平成三十一年度予算の編成等に関する建議』【財政制度等審議会、平成30年11月20日】

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(安倍内閣の回答)

 一般論としては、国際会議におけるコミュニケや演説には法的拘束力がなく、盛り込まれた事項はそうした意味において国際公約ではないが、二千二十年度及び二千二十五年度の基礎的財政収支の黒字化目標については、これまでも累次の国際会議の場で説明され、その会議におけるコミュニケや財務大臣による演説にも盛り込まれてきており、政府としては、新経済・財政再生計画に沿って、経済再生と財政健全化に着実に取り組み、二千二十五年度の国・地方を合わせた基礎的財政収支の黒字化を目指してまいりたい。

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『当初予算として初めて100兆円を超えた平成31年度予算ー「臨時・特別の措置」により膨張した歳出ー』【遠藤壮著、立法と調査、2019.2、No.409】

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三 財政審のみならず会計検査院からも指摘されている課題に、補正予算で膨らむ予算規模の問題がある。この問題の主な原因は、度重なる自然災害への緊急対応にあるというより、翌年度の当初予算の規模を抑えるために補正予算で前倒し計上する、いわゆる「補正回し」の頻度・規模の増大にあると考える。例えば、TPP等関連予算について、平成二十七年度以降、当初予算を超える規模で補正予算が恒常的に計上されているが、こうした「補正回し」は財政法の趣旨にかなうものなのか、政府の見解を明らかにされたい。

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(安倍内閣の回答)

 補正予算については、財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第二十九条により、「法律上又は契約上国の義務に属する経費の不足を補うほか、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となつた経費の支出(当該年度において国庫内の移換えにとどまるものを含む。)又は債務の負担を行なうため必要な予算の追加を行なう場合」及び「予算作成後に生じた事由に基づいて、予算に追加以外の変更を加える場合」に限り作成し、これを国会に提出することができるとされている。

 御指摘の「補正回し」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、こうした同法の規定に基づき、各年度の補正予算について、予算作成後に生じた事由等に基づき適切に編成しているものと考えている。

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『当初予算として初めて100兆円を超えた平成31年度予算ー「臨時・特別の措置」により膨張した歳出ー』【遠藤壮著、立法と調査、2019.2、No.409】

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四 平成最後の建議書において、財政審は「持続可能な社会保障制度を確立する観点から、消費税率の引上げは予定どおり確実に行うことが必要」としているが、消費税率の引上げは今年十月に間違いなく行われるか、政府の見解を明らかにされたい。もしも延期の可能性がある場合、何を基準に延期を判断するかについてつまびらかにされたい。併せて、社会保障制度を今後も持続可能とするためには、消費税率を十パーセントとした後、さらなる引上げを目指すのか、それとも、当面は十パーセントで十分か、また、さらなる消費税率の引上げを目指すとすれば、何パーセントまで引き上げるのか等、消費税率を十パーセントとした後の政府の展望も明らかにされたい。

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『平成三十一年度予算の編成等に関する建議』【財政制度等審議会、平成30年11月20日】

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(安倍内閣の回答)

 消費税率の十パーセントへの引上げについては、全世代型社会保障の構築に向け、少子化対策や社会保障に対する安定財源を確保するために必要なものであり、リーマンショック級の出来事が起こらない限り、法律で定められたとおり、本年十月に実施する予定である。その後について検討を行っていることはない。

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『平成三十一年度予算の編成等に関する建議』【財政制度等審議会、平成30年11月20日】

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五 財政審が平成最後の建議書で痛烈に批判した、いわば平成「過ち」の財政史を教訓として、政府は新しい元号「令和」の時代におけるあるべき財政運営について、いかなる全体構想をもっているのか、忌憚なく明らかにされたい。

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(安倍内閣の回答)

 政府としては、引き続き、新経済・財政再生計画に沿って、経済再生と財政健全化に着実に取り組み、二千二十五年度の国・地方を合わせた基礎的財政収支の黒字化を目指し、同時に債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指してまいりたい。

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20190415質問主意書(No.40)『平成「過ち」の財政史を教訓とする「令和」のあるべき財政運営の構想に関する質問主意書 』【石上俊雄事務所作成】

20190423答弁書(No.40)『平成「過ち」の財政史を教訓とする「令和」のあるべき財政運営の構想に関する質問主意書 』に対する答弁書【内閣総理大臣 安倍晋三】

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以上


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